改善を阻む反対意見を軽減する、スクラムマスターのための信頼構築

実践ガイド
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この記事は、「改善のための反対意見を軽減する方法」の第二弾です。前回紹介した内容よりも、少し手間はかかりますが、前回の方法では解決できないケースをも解決できるできるようになる素晴らしい手法になりますので、ぜひお試しください。

上記の記事でもご紹介しましたが、チームやスクラムマスターが改善のための取り組みをやっていると反対されることがちらほらありますよね?もし、なければあなたはかなり周囲や上司から信頼されたスクラムマスターですので、こちらの記事の対象外かもしれません。

しかし、私はスクラムマスターの相談を受けていますが、こういった改善への反対意見は珍しくありません。特に、マネージャーやチームのスペシャリストといった発言権の大きな方からの反対意見であれば、改善を大きく阻む意見に繋がります。

今は、反対意見を言われて困ることがなくなった私も、新米スクラムマスターだったときには反対意見を上司から言われて何度も改善ができずに困っていたことがありました。その時は、理詰めで正論を振りかざして説得しようとして失敗し、更に意見が通りづらい環境になってしまったのを覚えています。

しかし、そんなとき先輩から質問された「反対してくる相手は、何を望んでいるのか知っている?」や、「反対してくる相手は、その活動を誰に説明しないといけないのか知ってる?」といった質問が私の考えを一転させました。私は、自分の主張を通すことばかり考えて、相手のことは何も考えていなかった、と。

それからは、私も考え方を切り替えて相手が何を望んでいるのか確認し、相手の望んでいることを想定した解決策を提供することにしました。しかし前述した通り、私は反対する上司に対して、理詰めで正論を振りかざして説得しようと何度もしていたため、何を望んでいるのかを聞いてもなかなかうまく行きませんでした。私に対する信頼が低下して、悪用されるのではないかと思い上司も私に対して情報を教えてくれなくなっていました。

そんなタイミングで、私はちょうど別の部署に異動することになりました。私を厄介に思った上司が異動の決断をしたのでしょう。心機一転、私は新しい部署でスクラムに関わることもできるようになりました。前回の失敗があったので、今回は信頼を失いたくないと思い、以前アドバイスをもらった先輩にも話を聞きに行ったり、自分で勉強したりすることで信頼を得る方法を学ぶことができました。(後で詳しく説明しいます)

今では、信頼を得る方法を支援先のスクラムマスターの方々にお伝えして、スクラムマスターが組織内で改善を進めるために役立てています。信頼を得る方法をお伝えするようになってから、変えようのない大きな失敗をすることが減りました。

今度はあなたが問題を解決する番です。私や他の人が問題を解決した方法の使い方をこれからお伝えします。

信頼を得る方法

信頼の構成要素

信頼には3つの構成要素、能力、善意、誠実さがあるとのこと(Mayer, Davis, & Schoorman (1995))。
そのため、スクラムマスターがスクラムを導入したり、スクラムの改善活動を推進するときに必要な信頼を、3つの要素に対応付けて紹介します。

構成要素1:能力

能力は、その人に能力があるかどうかによって信頼されるかどうかが異なるというものです。

これは、信頼される対象の人に普遍の信頼というわけではなく、種類ごとの行動それぞれに信頼があると考えられます。例えば、「あの人は、仕事に関しては信頼できるけど、外食のお店の情報に関しては信頼できない」みたいな。心当たりありませんか?

そのため、今回はスクラムの導入や改善活動を前提とした、スクラムや改善に関する能力として考えます。スクラムや改善に関する能力を認めてもらうための方法を簡単な方からリストアップしました。ぜひ、できるものから試してみてください。

* スクラム関係の本を読んでいることを共有する
* コミュニティでアドバイスをもらっていると伝える
* 認定資格を取得したことを報告する
* ブログで学んだことを発信している
* コミュニティで発表(他者から認められている)している

構成要素2:善意

善意は、その人が相手のためを思って行動するかどうかを問うものです。

善意を感じてもらうためには、以下のリストのような行動で感じられるようです。
とはいえ、テクニックにそってやっていても、心が伴っていないと見破られてしまう場合も多いように感じます。例えば、私はこのような話を聞いたことがあります「上司のAさんは、話を聞いてくれているように見えるけど、自分の評価挙げたいだけだよね」。

人は案外敏感で、相手の真意を見抜いたりできることも少なくありません。
そのため、できるだけ相手のためを思って以下の行動を実践してみてください。

* 共感的傾聴する:相手の話を聞き、感情や立場を理解しようと努める
* 無条件の支援をする:見返りを求めずに他者を助ける
* 相手の利益を考慮する
* 感謝の表現
* 寛容になる:他者の過ちを許し建設的にフィードバックする

私は過去に、チームでみんながやりたがらないことを率先してやるなど、して善意を感じてもらえたように思います。こちらに関しては、書籍「裏方ほどおいしい仕事はない」が詳しいです。チームから、上司から信頼が足りないという場合には、こちらを一読することをおすすめします。

構成要素3:誠実さ

誠実さは、約束を守り、正直で一貫した行動を問うものです。

スクラムにおける改善活動でも、スクラム導入に関してでも、自分が推進したいと思ったものはメリットが強く映ってしまいがちです。意図的に、メリット・デメリットを整理することで誠実性を示しやすくなるかもしれません。自分の提案に関するデメリットも説明するクセをつけるようにしてみましょう。

* 一貫性のある行動:約束したことを実行する
* 透明性の確保:情報を隠さずにコミュニケーションを行う
* 責任の受け入れ
* 正直に自分に不利なことでも説明する

この記事を書いた人
kawagoi

SM、アジャイルコーチ歴8年
Yahoo6年間→永和SM2年→フリーSM2年
20社コンサル・講演20回以上・著書7冊
教育心理学・スクラムマスター・1on1・リーダーシップ

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