みなさんチームや、近くのチームでこんなことはありませんか?
開発メンバーがプロダクトバックログアイテムを追加してくれるものの、リファクタリングや、アーキテクチャ変更、技術的に実現可能なことが増えたことによる機能追加でユーザが使う場面がイメージされていない、などなど、ユーザではなく技術に偏ったプロダクトバックログアイテムが多い。
その結果、開発メンバーから出てきたプロダクトバックログアイテムに対して、POが常に優先順位を低く設定してしまい 開発チームがやる気を失ってしまいます。
開発チームがやる気を持って取り組み、ユーザにとって価値のある機能がリリースされたら素晴らしいですよね。
そうです。できるんです。
開発チームに、ユーザに関心を持って、ユーザに寄り添うアイデアを出してもらうためには、開発チームがユーザに触れることを支援しましょう。
もちろん、ユーザインタビューやユーザテストに来てもらうのが一番良いと思います。
しかし誘っても来てくれない場合は、他にも方法はあります。ユーザがプロダクトを使っているところを見てもらう、プロダクトのファンが集まる場を見てもらう、ユーザからのポジティブな感想伝えるなどするのがいいでしょう。開発チームの負担にならないことから始めましょう。
ユーザーに触れることを促すと、こんなメリットにも繋がりますのでおすすめですよ!
・アイデアを出すときにユーザのためになるものを出してもらいやすくなる
・課題に直面しても、粘り強く取り組む
・生産の量が増える
・作るものの質が高まる
・ストレス軽減
ここからは、根拠に関する説明だけなので、興味のある方だけお読みください。
では、なぜそう言えるのでしょうか。
事例としても、ユーザの声を開発チームに伝えることで、開発チームがユーザの価値を考えるようになったとの発表がRSGT2020でありました。
https://speakerdeck.com/yohhatu/zheng-siimofalsewozheng-sikutukuru-wotan-suo-sisok-ketekita10nian-tokorekarafalse10nian
何かをしてもらうというのは、してもらいたいことに対するモチベーションを高めるということです。そこで、モチベーション理論だと、「ある程度知っていることに興味を持つ」「貢献することへの喜びを感じる」が関係してくるでしょう。1つずつ説明します。
「ある程度知っていることに興味を持つ」というのは、皆様も心当たりがあるかと思います。
全く知らない人のニュースよりも、身近な人や、テレビでよく見かける芸能人のニュースが気になりますよね。スポーツ観戦に行く場合、よく知っているチームの試合を見に行くほうが、楽しめる方が多いと思います。
それと同じく、ユーザの事を全く知らないとユーザに対して関心を持ちづらいのです。なので、少しずつユーザに関する知識を提供することで、アイデアを出すときにユーザのためになるものを出してもらいやすくなります。
「貢献することへの喜びを感じる」に関してだと、人の役に立つことや、感謝されることでよかったなと思うことが過去にあったかと思います。
それが、感謝される褒められることでの承認欲求を満たしたいというのではなく、ユーザのためになることが嬉しいと思う気持ちが特に良い状態です。
有機的統合理論でいう統合的調整にあたります。この状態だと、課題に直面しても、粘り強く取り組みますし、プロダクト作りの生産の量も高めます。そして、仕事をしている時間に楽しいと感じられるようになるのです。
自分たちがやっていることがユーザーのためになっていると実感できることは、大きなメリットを生み出します。
さらに、自分たちが作ったプロダクトバックログアイテムを実装ということは、プロダクトオーナーが作ったものを実装するよりも、自分たちの行動が結果に影響していると感じやすくなり、内発的なモチベーションが高まります。
これにより、短絡的な思考が軽減し生産するもの質が高まります。また、仕事をする上でのストレス軽減効果も期待できるのです。
こんなに多くのメリットを得られるようになるのなら、ちょっと大変でも、もっとユーザに関わることをサポートしてもいいかなって思いませんか?
参考文献:
鹿毛 雅治, 2013, 学習意欲の理論: 動機づけの教育心理学 https://www.amazon.co.jp/dp/4760823794
参
速水 敏彦, 2019, 内発的動機づけと自律的動機づけ: 教育心理学の神話を問い直す, https://www.amazon.co.jp/dp/4760830383/
川鯉光起, 2019, 理論と事例でわかるモチベーション, https://booth.pm/ja/items/1572897
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