アジャイルコーチの1日に密着!実践的な仕事内容と年収の実態【現場レポート】

基礎知識

「アジャイルコーチの年収はどのくらい?」「実際の仕事内容は?」こうした疑問に、8年間で3名から1万人規模までの企業支援を行ってきた現役アジャイルコーチの経験と、最新の年収調査データからお答えします。

要点

  • アジャイルコーチの平均年収は1,051万円(2023-2024年調査)
  • フリーランスの場合、時給2-3万円、日給25-30万円が相場
  • 経験年数より、顧客への価値提供力が重要
  • 技術力よりコーチングスキルが重要

※本記事では「スクラムマスター・アジャイルコーチ年収調査レポート#1 2023-2024年版」(合同会社アゴラックス & サーバントワークス株式会社)のデータを参照しています。

アジャイルコーチの収入モデル

全体の収入傾向

  • 平均年収:1,051万円
  • 中央値:980万円
  • 役割による違い:アジャイルコーチはスクラムマスターより84%高い収入

雇用形態別の特徴

フリーランスの場合

  • 平均年収:1,443万円(一般より45%高い)
  • 時給:2-3万円
  • 日給:25-30万円(税抜き)
  • 年間稼働率:50%程度が目安
  • 収入幅:540万円〜3,000万円

社内コーチの場合

  • 会社の平均年収に影響される傾向
  • 他職種との給与差が付きにくい
  • 製造業のIT部門は比較的年収が低め
  • 兼務なしの方が10.4%収入が高い

業界別の特徴

  • ヘルスケア業界が高収入傾向
  • 製造業も比較的高収入
  • Web系企業は中程度
  • 技術系企業は比較的安定

現役コーチの1日に密着

訪問日のスケジュール例

訪問日のスケジュール・フロー図

午前:

  • 10:00 スクラムイベントへの参加・観察

午後:

  • 13:00 ミニ講座の実施(30分程度)
  • 13:30 スクラムマスターとの1on1
  • 14:30 スクラムマスター向けのトレーニング
  • 16:30 チームとのモブプログラミング
  • 18:00 経営層との打ち合わせ

非訪問日の活動

  • 営業
  • 支援内容の検討
  • 研修資料の作成
  • 自己学習・コミュニティ活動

収入を左右する重要要因

経験とスキル

  • 5年以上の経験で大きな収入増加
  • 上級資格保有者は高収入傾向
  • コーチングスキルが特に重要

必要な能力

私の場合、得意領域がチームビルディングなので、以下のようなスキルを重要視しています。コーチの得意領域ごとの説明については、アジャイルコーチ活用ガイド:現役コーチが解説する選定のポイントに詳しく掲載しています。

技術面(最低限必要なスキル)

  • Webシステムの一人での開発力
  • CI/CD、TDDなどの実践経験
  • 新しいアーキテクチャの理解

より重視しているソフトスキル

  • コーチング力
  • チーム心理の理解
  • 組織変革の知見

成功のポイント

  1. 顧客満足度の向上
  • 現場への実践的なアドバイス
  • チームの成果創出支援
  • 新しい価値の提案
  1. 継続的な学習
  • コーチング、心理学、認知科学の学習
  • コミュニティ活動への参加
  • 実践知の蓄積

外部支援コーチでも、フリーランスでも、よいお客様との仕事を獲得することが一つの課題です。顧客満足度が高く継続依頼をされる場合には、新しいお客様を探す必要がなくなり、稼働率が高まるため収入アップにつながりました。さらに、継続する場合に、新しい価値の提供につながる幅広いサポート範囲を確保できる継続的な学習もあることでより収入アップにつながっています。

キャリアアップのための実践的アドバイス

収入アップのポイント

  1. 専門性の確立
  • 得意分野の明確化
  • 実績の蓄積
  • 上級資格の取得
  1. 価値提供の質向上
  • クライアントの課題解決力
  • チーム改善の具体的手法
  • 組織変革の実践知

繰り返しになりますが、収入アップのためには、顧客満足度が大きく影響します。顧客満足度は、別組織への紹介や、リピート率を高め、稼働率を高める、収入アップにつながります。

専門性を高め実績を増やすことで自分の得意領域の現場の支援につながり、更に成果が出しやすくなります。そして、得意できるだけ価値提供の質を向上させることにより、紹介やリピート、単価アップにつながります。一緒にお客様への提供価値を高め、収入アップを目指しましょう。

アジャイルコーチになるためのステップ

アジャイルコーチになるためのステップの図
  1. アジャイル開発の実践経験
  2. チーム支援での成果創出
  3. 専門性と支援範囲の拡大

アジャイルコーチになるためには、まずは自分のアジャイル開発の経験を積むのが最も最初のステップです。そして、自分の所属するチームで成果(KPIの改善や、業務の効率化)を出せたら、他のチームへのアドバイスを求められることが増えるでしょう。また、そこで成果を出します。複数チームに対して同じように成果を出せたら、アジャイルコーチとしての基礎的な土壌はできています。その後は、自分の支援できる範囲を広げたり、更に難しい場面でも支援できるように得意な領域を深掘りし、専門領域化します。

まとめ:成功するアジャイルコーチの条件

収入面での成功要因

  • 顧客満足度の継続的な向上
  • 専門性の確立と価値提供
  • 継続的な学習と実践

実践面での重要ポイント

  • コーチングスキルの強化
  • 組織理解力の向上
  • 実績の蓄積と可視化

本記事は、8年間のアジャイルコーチとしての実務経験と、2023-2024年の年収調査データに基づいて作成しています。ただし、個々の状況や市場環境によって結果は異なる可能性があります。

この記事を書いた人
kawagoi

SM、アジャイルコーチ歴8年
Yahoo6年間→永和SM2年→フリーSM2年
20社コンサル・講演20回以上・著書7冊
教育心理学・スクラムマスター・1on1・リーダーシップ

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