【研究紹介】スクラムマスター導入で開発期間50%短縮:大規模研究からわかった定量的効果

研究・データ

エンジニアリング・マネージャーの皆様、スクラムマスター(SM)の存在意義についてどのようなイメージでしょうか?コミュニティで話を聞いている限り、スクラムマスターがいるとスクラムイベントが円滑に回るといった実感を持っている方は多そうです。しかし、スクラムマスター専任の人をチームに置くほど効果を感じているかと言われると、Noと答える人もいらっしゃると思います。

スクラムマスターの役割の重要性については、長年議論されてきました。しかし、影響を定量的に示す研究は限られていました。今回は、北欧の大手企業で行われた研究結果から、スクラムマスターの存在がパフォーマンスに与える影響を明らかにしましたので、その研究
”The Power of Scrum Mastery: An Analysis of Agile Team Performance and Scrum Master Influence.” 「スクラムマスタリーの力: アジャイルチームのパフォーマンスとスクラムマスターの影響力の分析について」について紹介していきます。

研究内容

本研究では、45のアジャイルチーム(SMがいるチーム21、いないチーム24)を18ヶ月にわたって観察し、以下の重要な指標を分析しました。

  1. フィーチャーリードタイム(FLT)

  2. 予測可能性

  3. ベロシティ

  4. 欠陥漏洩

特筆すべき結果は、フィーチャーリードタイム(FLT)に関するものです。FLTは、アイデアの提案から本番環境までの時間を測定する重要な指標です。

研究結果:

  • SMがいるチームは、目標FLTを6回中4回達成

  • SMがいないチームは、一貫して目標FLTを達成できず

  • SMがいるチームのFLTは、いないチームと比較して20%〜50%短縮

  • この差は統計的に高度に有意(p値 < 0.01)

つまり、SMの存在は、アイデアから製品化までの時間を大幅に短縮して、市場投入までのスピードを加速させる可能性があります。

さらに、SMのいるチームは、時間とともに血管数を減少させる傾向が見られ、品質向上と学習能力の強化を示唆しています。
この研究結果は、SMの役割がチームパフォーマンスに実質的な影響を与えることを明確にしています。

おまけ

この研究結果から、SMの役割がチームのパフォーマンスに影響を与えることを明確に示しています。SMを育成しチームに配置することは以下のような利点をもたらす可能性があります。

  1. 製品開発サイクルの短縮

  2. 市場ニーズへの迅速な対応

  3. 品質向上とチームの学習能力の強化

SMの育成と配置には、初期投資のコストがかかるかもしれません。しかし、この研究結果は、その投資が組織の競争力と効率性の向上という形で確実にリターンをもたらすことを示唆しています。
参考文献
Salin, H., Albrecht, F., & Skov, J. (2023). The Power of Scrum Mastery: An Analysis of Agile Team Performance and Scrum Master Influence. , 377-384. https://doi.org/10.5220/0012083600003538.

この記事を書いた人
kawagoi

SM、アジャイルコーチ歴8年
Yahoo6年間→永和SM2年→フリーSM2年
20社コンサル・講演20回以上・著書7冊
教育心理学・スクラムマスター・1on1・リーダーシップ

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